国際会議・学術集会における魅力的なユニークベニューはなにか?アンケート結果から調査してみる。

国際会議・学術集会

魅力的なユニークベニューとは?

過去の記事で記述しておりますが、当社でお手伝いさせていただいた国際会議が、過去3回(2025年3月時点)、観光庁の実証事業に採択され、当社もユニークベニュー開発のお手伝いをさせていただきました。ユニークベニュー開発では、通常の観光では訪問しない、あるいは訪問しにくい場所を見学したり、そこでイベントを開催することで価値・魅力を生みますが、実際に国際会議・学術集会の参加者はどのようなユニークベニューに魅力を感じるのか?国際会議・学術集会のお手伝いする中で悩み・迷うことは多いです。

今回は国際会議・学術集会の参加者が重要視する観光対象が何かを学術集会・国際会議の参加者向けアンケートから調査し、ユニークベニュー開発に重要な要素を考えてみたいと思います。

アンケート調査

当社では、観光(特にMICE)分野における国際会議・学術集会のサービス向上をテーマに研究を行っている団体、Research Team on Convention & Service studies(RTCSS)より委託され、当社でサポートする学術集会・国際会議で主催者様の許可をいただき、参加者様向けに任意のアンケート調査をさせていただいております。そのアンケートの一部をRTCSSの許可をいただき、利用させていただきました。

今回、使用したアンケート調査は2024年に当社でお手伝いさせていただいた学術集会・国際会議を対象に、125名の参加者様からご回答をいただきました。また、当社でお手伝いさせていただいている学術集会・国際会議の都合、情報学系、化学系の参加者がやや多くなっております。その点を踏まえ、お読みいただけますと幸いです。

重要視する観光対象

アンケート調査は国際会議・学術集会の参加者に開催地を観光する場合、重要視する観光対象を16項目提示し、それぞれの重要度を5段階で重み付けしてもらいました。

上記のグラフの「5:重要である」と「4:やや重要である」を合わせて、上位5つを抽出したら、下記のようになりました。

  1. 景観(素晴らしい眺め)
  2. 街歩き
  3. 自然
  4. 特産物・土産物の購入
  5. 歴史

私の個人的な主観も含みますが、この結果から考えてみます。1位の「景観(素晴らしい眺め)」と3位の「自然」は、日常生活から脱して、美しい自然の景観を眺めたり、自然の中に身を置くという似た要素を含むと考えられます。また、2位の「街歩き」は人によって目的は異なるかと思いますが、自分の生活圏とは異なる街並み、人々、食事などから、非日常を体験することを含むのではないでしょうか。さらに4位の「特産物・土産物の購入」も、その土地ならではの品々のショッピングを楽しむことは、日常生活の脱却・非日常体験に関連がありそうです。

また、逆に「1:重要でない」と「2:あまり重要でない」を合わせて、上位5つを抽出したら、下記のようになりました。

  1. テーマパーク
  2. スポーツ観戦・体験
  3. アニメなどの聖地巡礼
  4. イベント(コンサートなど)
  5. ショッピング

この5つは、日常生活でも体験できること、あるいは特定の目的や趣味に沿った行動のように考えられます。この結果から、重要な要素上位5つと重要でない要素上位5つを比較すると、日常と非日常という対照的な結果になりました。国際会議・学術集会の参加者が重要視する観光対象は日常生活の脱却・非日常体験を目的としていると考えられます。

非日常とは何か?

それでは具体的に非日常とは何なのか考えたいのですが、これは人によって環境が異なるため、難しいテーマです。私の経験で恐縮ですが、昨年、高松市で開催した国際会議でユニークベニューによるバンケットとエクスカーションをお手伝いさせていただき、感じたことを紹介します。

まずはユニークベニューによるバンケットですが、高松市中央卸売市場(うみまちバンケット)のイベントスペースにテントやステージを設営し、お祭りのような空間を演出の上、市場内にある飲食店から料理を提供いただきました。特に観光地ではなく、地元の方が飲食や買い物に訪れる場所ですが、とても盛況のうちに終えることができました。日が暮れるにつれ会場はライトアップされ、お祭りのように熱気が高まり、料理もホテルの宴会料理のように豪華ではないのですが、どれもとてもおいしく、すごい勢いでなくなりました。

エクスカーションは5コース、10施設を訪問したのですが、その中でも特に盛り上がりを見せたのが、香川県農業試験場果樹研究所の見学とボートレース体験です。香川県農業試験場果樹研究所は、一般見学はなく基本的に農業関係者や企業の見学を対象にしております。今回は、国際会議のエクスカーションということで、受け入れていただきました。まさに通常の観光で訪問することできないユニークベニューです。また、ボートレース体験は誰でも体験できるエンターテイメントですが、特筆すべきこととして、ボートレースは日本発祥の競技スポーツで外国人に方にはとても珍しいです。また、日本人でも国際会議に参加する方で、ボートレースをする方は少ないようで、新鮮な体験であったようです。

一例として紹介しましたが、いずれも非日常を体験するイベントになるかと思います。そして、このような施設はどこの地域にもあります。つまり、どこの地域にもユニークベニューになりうる魅力ある施設があるということです。あとはそれらの施設の受け入れ体制を整えることができるか、地域のコンベンション協会・ビューローの皆様に頑張っていただきたいと思います。

まとめ

アンケート調査の結果から、国際会議・学術集会の参加者は開催地で重要視する観光は、非日常を体験することで、リフレッシュすることを目的としているようです。非日常体験は、一般見学ができない施設や、日本独自の文化が該当するようです。また、ボートレースのように決して万人受けしない文化を敢えて体験することも非日常に繋がる可能性があります。またユニークベニュー開発のお手伝いをさせていただく機会がありましたら、ブログで紹介いたします。