新年のご挨拶
新年明けましておめでとうございます。
皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。2024年も学術の発展に貢献し、笑顔溢れる学術集会・国際会議の一助を担えるよう尽力して参ります。 本年も宜しくお願い申し上げます。
同時にこの度の震災に対し、心からお見舞い申し上げますとともに被災地の皆様のご無事と一日も早い復興をお祈り致します。
コロナ禍で増加したオンライン(バーチャル)会議
昨年は新型コロナウィルスの影響が薄れていった1年でした。2023年5月8日から新型コロナウィルス感染症の位置づけが、「5類感染症」になり、それに伴い政府の「新型コロナウィルス感染症対策の基本的対処方針」が廃止され、エンターテイメントやスポーツにおいて、声だしの観覧・観戦が可能になりました。学術集会・国際会議でも、マスク着用などを始めとする感染症対策の負担が軽減され、パンデミック前の状態に近づいた1年だったかと思います。実際に当社でお手伝いさせていただいた学術集会・国際会議でも、2023年6月くらいまではマスク着用を必須とし、会議のホームページや会場でアナウンスしておりましたが、後半は個人の判断となり、自粛していたレセプションやバンケットなども開催することができました。
一方、コロナ禍でリモートワークやオンライン会議など、人々の移動や対面が伴わない働き方が増加し、一部では定着したような印象があります。当社でもお客様との打ち合わせではZoomを使用するようになり、移動時間の節約になり、遠方のお客様でも当社のサービスをご利用いただく機会が増えました。学術集会・国際会議においても、オンライン(バーチャル)会議やハイブリッド会議(現地とオンライン)が増加しました。
新型コロナウィルス感染症の影響が薄れつつある今、参加者にとって、オンライン(バーチャル)会議への参加は、実際にはどの程度要望があるのか? 気になったので、学術集会・国際会議の参加者向けアンケートから調査してみたので、ご紹介します。
アンケート調査
当社では、観光(特にMICE)分野における国際会議・学術集会のサービス向上をテーマに研究を行っている団体、Research Team on Convention & Service studies(RTCSS)より委託され、当社でサポートする学術集会・国際会議で主催者様の許可をいただき、参加者様向けに任意のアンケート調査をさせていただいております。そのアンケートの一部にオンライン(バーチャル)会議に関する質問があるので、RTCSSの許可をいただき、使用させていただきました。
今回、使用したアンケート調査は2023年に当社でお手伝いさせていただいた学術集会・国際会議を対象に、88名の参加者様からご回答をいただきました。また、当社でお手伝いさせていただいている学術集会・国際会議の都合、情報学系、化学系の参加者がやや多くなっており、回答者の8割以上が日本人となります。その点を踏まえ、お読みいただけますと幸いです。
オンライン(バーチャル会議)とオンサイト(現地開催)、どちらを選択?
アンケートの質問の1つに下記があります。
今後、学術集会・国際会議に参加する際にオンライン(バーチャル会議)とオンサイト(現地開催)のどちらかを選べる場合、どちらを選択しますか。
1. オンライン(バーチャル会議)
2. オンサイト(現地開催)
その結果を円グラフにしてみると、83%の方がオンサイト(現地開催)を望んでいることがわかります。現地開催のお手伝いをしているとコーヒーブレイクなどのソーシャルイベントで、研究の話などで盛り上がっている光景をよく目にします。やはり参加者の皆様は、オンサイト(現地開催)を好む傾向があるようです。
また、回答者の年齢別の割合は下記の通りとなり、10代と70代以上はほとんどいないのですが、20代がやや多く、30~60代はそれほど大きな差はありません。
そこで、20~60代の年齢別に上記の質問の結果をそれぞれ円グラフにしてみました。
この年齢別の結果では、60代で100%の方がオンサイト(現地開催)を望んでおり、次いで20代がオンサイト(現地開催)を望んでいる方が多く96%になり、少し驚きました。また、逆に40代でオンサイト(現地開催)を望んでいる方が最も少なく、64%になっております。残りの30代では76%、50代では78%となっております。若い方と年配の方が、オンサイト(現地開催)を望む傾向が強く、中間の40代で、オンサイト(現地開催)を望む傾向が最も弱くなるという結果でした。
私の推測となりますが、60代の皆様はこれまでの経験でオンサイト(現地開催)に慣れているため、オンライン(バーチャル会議)は好まない傾向があるのかと思います。また、ご回答いただいた研究者や大学教授の皆様は、40代で中間管理職となり、いちばん管理業務や事務手続きが多くなりがちで、大学を離れがたいため現地開催の学術集会・国際会議に参加できる時間を取ることが難しい状況になっているのではないかと思います。そして、いちばん以外だったのが、20代の皆様がオンサイト(現地開催)を望んでいることです。20代の皆様はインターネットやアプリケーションを当たり前に使用する世代で、ITリテラシーが高く、オンライン(バーチャル会議)に抵抗がないため、簡単に参加でき旅費等も節約できるオンライン(バーチャル会議)を好むかと私は思いましたが、異なる結果となりました。
バーチャル空間による交流はアリか?
オンライン(バーチャル会議)とオンサイト(現地開催)でどちらに参加するか、という質問では多くの方がオンサイト(現地開催)を望んでいることがわかりました。現地開催による研究者の交流が、学術集会・国際会議で重要視されていることが伺えます。そこで、バーチャル空間による交流であればどうか?というアンケート調査がありますので紹介します。
アンケートの質問は下記となります。
学術集会・国際会議前後、また期間中にオンライン参加者と現地参加者を交流するためのバーチャル空間を設置したら参加を希望しますか。
1. はい
2. いいえ
その結果を円グラフにしてみると、半数以上の方がバーチャル空間による交流を望んでいないことがわかります。
オンライン(バーチャル会議)とオンサイト(現地開催)に関する質問ほど、大きな差はありませんが、やはり対面で相手の表情や振る舞いを感じながら、交流することが重要ということを示しているのではないでしょうか。または、現地開催ならではのエクスカーションやバンケットへの参加、開催地の観光など、オンライン(バーチャル)会議では、体験出来ない要素がオンサイト(現地開催)にはたくさんあるので、そういった点もオンサイト(現地開催)が人気の理由かもしれません。
まとめ
今回のアンケート調査の結果は、会場で研究について話が盛り上がる参加者様の様子を見てきた私としては、予想通りの結果となりました。また、研究者間の交流が促進され、笑顔溢れる学術集会・国際会議をサポートしたい当社としては、オンライン(バーチャル会議)より、オンサイト(現地開催)を盛り上げていきたいという思いがあり、安堵しております。
一方で、2つの必要性を感じました。若い学生や研究者の方がオンサイト(現地開催)を望んでいるという発見があり、若い方でも楽しめる学術集会・国際会議を提案していくこと、また40代の中間管理職の方がお忙しい中、学術集会・国際会議へ参加出来るような工夫をすること、そうすることでどの世代も取りこぼすことなく、笑顔溢れる学術集会・国際会議を実現していきたいと実感するアンケート結果となりました。
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