DOIとは?
DOIとはDigital Object Identifierの頭文字で、インターネット上にあるドキュメントを永続的に識別するための文字列とその仕組みを提供します。
具体的に言うと、インターネット上の古いドキュメントがリンク切れになっているのを見たことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?ドキュメントを管理している組織の解散やホームページの移転など、様々な理由でリンク切れになる場合があります。これだと、価値のあるドキュメントでもちゃんと管理されてなければ、誰にも見つけてもらえなくなってしまい、もったいない!それを解決するために、識別子を発行しインターネット上のURLと紐づけ、管理していこう!という取り組みです。識別子を発行された組織は、紐づけられたURLがリンク切れにならないように管理する義務が発生します。そうすることで、DOIの識別子さえ知っていれば、対象のコンテンツに確実に到達でき、多くの方に参照されやすくなります。
DOIは学術論文でよく利用されています。論文で参考文献を記述する際に、対象の文献情報に併せてDOIを記述しておくと、DOIに紐づいているURLは永続的に管理されているため、参考文献が見つからない!ということ防ぐことができます。
DOIの識別子
具体的にDOIは、下記のようにprefix(接頭辞)とsuffix(接尾辞)をスラッシュ区切りで構成します。
prefixの「10.」は固定で、[1234]はDOIを付与された組織固有の番号となります。suffixはDOIを付与された組織で任意の文字列を作成できます。これを1コンテンツにつき、1つずつ付与します。
上記に「https://doi.org/」を付け、ブラウザでアクセスするとDOIシステムから対象のコンテンツのURLへリダイレクトされます。参考までに、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットホームのJ-STAGEを見ると、論文の詳細ページにDOIが表記されています。それをクリックすると同じページが再表示されます。よろしかったら、確認してみてください。
DOIの運営組織
DOIは国際DOI財団という非営利団体により管理されており、DOIの登録機関(Registration Agencies)が世界に複数存在します。DOIの識別子の付与と登録手続きは、登録機関(Registration Agencies)によって行われます。日本の場合は、DOI登録機関として、ジャパンリンクセンターがあり、その会員となるDOI登録者がいます。もし、学術誌を発行している学会が発行論文にDOIを付与したい場合は、ジャパンリンクセンターに申請することになります。
それぞれの役割は下記の通りとなります。
国際DOI財団
- DOIの統括
- DOI登録機関(Registration Agencies)の管理
- ポリシーの策定
DOI登録機関(Registration Agencies)
- ポリシーに基づきDOIを登録・管理
- DOI Prefixの登録・発行
- DOI登録者の管理
- DOIシステムの普及
DOI登録者
- 自組織が管理するドキュメントのDOI登録申請
- ドキュメントの管理(URLの変更・廃止をDOI登録機関に報告)
日本におけるDOI登録の現状
国際DOI財団のウェブサイトを確認すると、全世界で約257,000,000件(2021年11月時点)のDOIが登録されているようです。そのうち、日本のDOI登録機関(Registration Agencies)であるジャパンリンクセンターからは、9,243,098件(2021年10月時点)登録されています。世界と比較すると日本からの登録はまだ多くはないですね。
まとめ
DOIは国際標準として、学術論文などのコンテンツを一意に管理する仕組みです。DOIを利用することで、コンテンツを発行している組織はより多くの方に参照してもらう機会が増え、同時にDOIとコンテンツを紐づける義務も発生するため、コンテンツが永続的に公開されます。これから、より多くの学術論文がDOI登録されて、日本の学術が発展することを切に願っております。
簡単ですが、今回はDOIの仕組みについてまとめてみました。次回はDOIの登録方法について、ご紹介いたします。
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